小説における起承転結の書き方を徹底紹介!
今回は小説を構成する上での基本中の基本となる、「起承転結」の書き方について徹底的に紹介していきます。以前、『小説の書き方のコツ8選|読みやすい文章に必須の知識!』の起承転結の項目でも多少触れましたが、当記事ではより詳細かつ専門的な部分まで解説しています。

そもそも起承転結とは
起承転結の詳細や例文を紹介する前に、まずは起承転結とは何なのかを簡単に紹介していきます。これは小説や物語を書き進めていく上では必須と言っても過言ではない技術です。
そのため、プロの小説家やライターの多くは当たり前のように起承転結を活用しています。以下に起承転結について簡単にまとめましたので、一度目を通して下さい。
- 起:物語の始まりや説明
- 承:始まりから発展する物語における主軸の部分
- 転:そこから起きる逆転や急展開
- 結:その結果生まれた物語の結末
以上が物語における起承転結になります。作品を作る際は事前にこの起承転結がしっかりと練られていなければ、途中で物語が脱線したり、オチがしっかり付けられずぐだぐだな展開になってしまいます。
多くの小説の書き方の本や、物語構成の基本の本でも起承転結が紹介されているのはそのためです。もしも今まで小説や物語を作る際に、起承転結を決めていなかったという方は、必ず事前に作品の起承転結を書くようにしましょう。
起承転結の正しい分配
ここからが本題になります。そんな起承転結ですが、実はその分配は四等分という訳ではありません。
多くの小説の初心者の方は、起承転結を決める際に「起・承・転・結ってくらいだし、キレイに四等分で決めないと!」と考えます。しかし、それは完全に間違いなので注意しましょう。
- 起:1~5%
- 承:40~50%
- 転:30~40%
- 結:5~15%
こちらが正しい起承転結の割合になります。何故起承転結を四等分にするのがいけないのかというと、これは240ページの小説を説明してもらえればわかりやすいです。
240ページの小説の場合、起承転結を四等分すると60ページづつになります。その場合、起の部分で60ページを使う=世界観の説明や物語が動き出すまで60ページが必要です。これではいつまで経っても物語が動き始めないせいで、読者は確実に離れてしまいます。
誰も「戦争が起きたのは○年前で~、その後の事件が起きて~、○○帝国が○○合衆国と同盟を結んで~~、○○の戦いが発生して~」なんて説明を延々と読みたくありません。「いつ物語が始まるんだ」「誰が主人公なんだ」「こんなの後でその設定が必要になった時に説明しろ」と思います。
物語の肝となる承と転の割合を増やす
反対に起の部分から動き出す、物語における本編となる「承」と「転」の割合は増やして構いません。あくまで読者が読みたいのはこの部分だからです。
誰も延々と起=世界観の説明が書かれた小説や物語を読みたいとは思いません。中にはそういう奇特な方もいるかもしれませんが、それは全体の0.1%もいません。そのため、ある程度の人間に受け入れられる作品を作るには、物語における主軸=承と転をしっかりと描く必要があるのです。
ただし、起と結も重要
上で起承転結においては「承」と「転」が重要という話をしましたが、かといって起結を軽視しては良い訳ではありません。
というのも、面白い承と転を描くには読者が惹き込まれたり、魅力的な世界観となる起が必須なのです。また、どんなに「起」「承」「転」の部分が面白い良策だったとしても、物語の終着点となる「結」の部分が最悪な終わり方だったり、グダグダだったりすると物語は一気に駄作になってしまいます。
- 起:魅力的な出だしと世界観を説明する
- 承:それを活かした物語を作る
- 転:その物語を活用して、読者が続きが気になったり惹き込まれる展開を作る
- 結:これまでの物語の結果を踏まえ、キレイにまとめる
そのため、物語の起承転結を作る際は最初に説明した割合を守りつつ、上にまとめた要素を意識するようにしましょう。そうすることで、作品を作っている最中に物語が迷走したり、オチを決める際に迷ってしまうという事態が起きなくなります。
小説や物語における起承転結の例文!
では続いて、先に紹介した起承転結の基本や分配を踏まえた上で、有名な小説やアニメ作品の起承転結の例文を紹介していきます。ぜひ実際に小説や物語を作る際の参考にしてください。
浦島太郎の起承転結
日本人なら誰もが知っている浦島太郎の起承転結です。起では過ごしている時代や浦島太郎の境遇、優しい性格を描写し、次に承で龍宮城での暮らしを穏やかに描いています。ここまではかなりほのぼのストーリーです。
- 起:母親と暮らす浦島太郎が亀を助ける
- 承:亀を助けたお礼に招かれた龍宮城で楽しく暮らす
- 転:ある日村に残した母親のことが気になり、玉手箱をもらって村に帰る
- 結:帰ると数十年という時間が過ぎており、もらった玉手箱を開けた結果浦島太郎は老けてしまう
ただ皆様もご存知の通り、転結に当たる部分では故郷に帰ると数十年という時間が経過→絶望した浦島太郎が玉手箱を開けるという、一転して激動のストーリーになっています。
そのおかげで幼少期に初めて浦島太郎のストーリーを読んだ時は多かれ少なかれ衝撃を受けたという方は多いはずです。このように、小説や物語においても起承の部分で積み上げたストーリーを、転結の部分で一気にひっくり返して盛り上げるのは面白い作品を作る上で非常に重要になります。
そんな激動の物語だからこそ、起承転結の例文として浦島太郎はかなり紹介しやすいのです。ただし、浦島太郎は子供にも親しみやすい童話なため、全体のボリュームが少なく、特に転結の部分のページ数はかなり短いので、長編小説などに活かす場合は多少の工夫とバランスの見直しが必要になります。
桃太郎の起承転結
続いて紹介するのは、浦島太郎と同様に日本人なら誰もが知っている桃太郎の起承転結です。こちらも短い絵本の内容の中で、上手く起承転結に物語が区切られています。
- 起:桃から桃太郎が生まれる
- 承:鬼が暴れているので、仲間を集めて鬼退治へ行く
- 転:鬼ヶ島へ向かい、鬼と激戦を繰り広げる
- 結:鬼退治を終えて金銀財宝を持って村へ帰る
実はこの起承転結の流れは、王道だからこそライトノベルを始めとした数多くの作品を描く時にも有効です。例としてライトノベルの設定に置き換えると、まず起で主人公の生い立ちを描きます。
そして承で主人公を旅立たせて仲間との出会いや交流を描写した上で、転の部分で敵(桃太郎でいう鬼)の掘り下げや戦闘を描き、結でその結末を描写するという感じです。
こうしてみると、桃太郎が一本の王道の物語を描く時に、非常に流用しやすい作品であることがよくわかります。ただし、浦島太郎と同様に結に当たる部分の文量が少ない(絵本だと1~2ページで済んでしまう)ので、あくまでもこちらで適時ボリュームの増量は行いましょう。
ガンダムビルドファイターズの起承転結
続いては筆者が個人的に大好きな機動戦士ガンダムシリーズの作品「ガンダムビルドファイターズ」の例です。
- 起:バトルが下手な少年セイが天才肌のレイジ出会う
- 承:数多くの戦いを通じて二人が絆を深めていく
- 転:世界大会で影が蠢き二人に危機が訪れる
- 結:大会で優勝しセイは成長、レイジと別れる
本作品ではこれ以外にもライバルとの出会い、ボーイ・ミーツ・ガール要素を持った甘酸っぱい恋愛の進展などの要素もあり、全ての起承転結の枠で語ることはできません。
しかしガンダムビルドファイターズは、叩かれることの多いガンダムシリーズの中で数多くのファンが絶賛をしているだけあって、物語のプロットは非常にしっかりとしているため、最終回まで見た時の満足感は非常に優れています。
多くの名作は起承転結がしっかりとしている
全ての作品がそう、とは言いませんが物語が無数にある現代において名作と呼ばれる作品は、最初から最後まで通して見た時に起承転結がしっかりと練られています。
これは、冒頭でも説明した通り最初に起承転結をしっかりと練られた作品だからこそ、行きあたりばったりな展開にならず一本の筋が通った物語になるからでしょう。
勿論、名作と呼ばれる作品の中にも起承転結が守られていない作品もあります。一例ですが、誰もが知ってるジャンプの有名作品のいくつかは、人気が高まりすぎたせいで作者が当初作っていた起承転結とは大きく違う作品になっています。
その結果、駄作となってしまった作品(~~編までは面白かった……なんて言われているものが良い例です)は数しれずあります。ジャンプの収益やマーケティングの観点から人気作品を早期に完結させる訳にはいかないとはいえ、作者からしたらさぞかし不本意だったでしょう。
ですがそんな連載引き伸ばしという逆境の中でも柔軟に物語を変更しつつも名作に仕上げ、完結した作品も確かにあります。それは作者の並外れた才能、実力があってものです。
小説においても引き伸ばしから名作となった作品も存在はしています。ただ、それが出来るのは一握りの才能や実力を持っている、あるいは優秀な担当編集に恵まれた一部の作家だけです。
そのため、基本的には起承転結をしっかりと意識して作品を作る。それがオーソドックスに名作を生み出す事へと繋がるでしょう。

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